(韓国ハンギョレ紙 10月7日付) 社説
井の中のカエル達の、“経済協力”の計算法
4日、南北首脳が合意した経済協力の方案をまえに、はや“費用”の論難が起こっている。ハンナラ党 チョン・ヒョンクン議員は、今回合意された経済協力作業に、全部で30兆ウオンの国民負担が生まれると主張した。
それよりも更に大きい数値を動かす者もいる。経済協力作業の具体的輪郭がまだ出て来ないのに、根拠ある数値で見るのは難しい。そのうえ、経済協力に投入される金だと言って、全て国民が負担しなければならないこともない。そうであっても、そんな主張をする下心を、察するのは難しくはない。“一方的支援”の論難を呼び起こして、南北関係の進展を妨害して見ようと言うのだ。
チョン議員が、主張した“所有財源30兆ウォン”は、現代経済研究院が去る5日出した報告書で推算した、10兆2千億ウォンの3倍近くになる。経済協力財源を“費用”としてみたてるのも、悪意的だ。
ケソン(開城)工業団地事業の場合、2012年まで全部で、16兆ウォンの財源が入るが、この中で、政府支援分は1兆3414億ウォンにとどまる。この様に、経済協力財源は一部だけ政府財政で出て行き、残り大部分は、民間が施設などに“投資”する金だ。“国民負担”でないだけではない。受益の可能性も、いくらでも開かれている。
無論、政府が南北協力基金などを通して、財政で支援する金は十分な社会的合意を経なければならない。ただ、その支出が北韓だけの為では無いと言う点は、言っておく必要がある。我が企業に良い投資与件を作ってもらうのに、大部分の金が入っていく。企業には、収益の可能性が高い対北投資だけせよ、と言いながら、その基盤を整えてもらう政府の経済協力支援は、一方的支援として煽るのは、前後が合っていない。
経済協力は、南北間の相互信頼と平和定着を根本として、拡大することが出来るが、経済協力の幅が大きく広がれば、これがむしろ、平和を担保する装置となることが出来る。南北の張り詰めた対峙が、わが経済の質的飛躍に大きな障害物となる現実から、これは、国全体に、金で換算するのに難しい利得をもってきてくれるだろう。
南北の経済力の格差を考慮するとき、北韓経済の成長と発展を助けることは、来る日の統一費用を、大きく減らす賢明な投資でもある。経済協力に参加したわが企業としても、新たな収益源がうまれる。こんな成果などは、考慮しないまま、すぐに政府の支援による負担だけを、問いただすのは、愚かな計算に違いない。いつまで、井戸の中のカエルの狭い目で、経済協力を見ようとするのか? (訳 柴野貞夫)
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